ぐ戒

砂利から遺体が出てきたし警察には連絡したけど家の敷地には数十年ウチがあるわけだし何かおかしいぞと思う夢を見た。砂利ってひょっとして石について考えていたからか? いや、確かに、先回りして言っておくと今後石の夢は増えるんだが、さすがにここの砂利は石として出てきているわけではないので違うと思う。というか遺体が出てきているのにめちゃくちゃ冷静だな、ビビる。起き抜けには、歌をフルコーラス歌えてしまったしそろそろ起きる時間かと思う夢を見た。この夢、夢の中で起きる直前の時間帯で起きる時間かなどと考えているため若干変だ。あるいはもう半分以上目が覚めた状態で見た夢なのかもしれない。
ところで夢に見たからというわけではない、そもそも砂利がどうたらというのは考えも及ばなかったことだけど、起きて昼ご飯を食べてすぐ家の前で石を拾ってしまった。いや、しまった、ということはないんだが……。欲望のままに拾ったので何も悪いことはないが、実際に川辺で拾うとなると暑さと虫により十分も活動できないんじゃないか。しかしとにかくここまで興味が出ているのだから試してみる価値はあるだろう。条件としては、敷地内に砂利があるというのは有利だよな、いらなくなった石を無限に捨てられるので。とにかく石を拾うとしたら何が必要か、袋だろ、軍手はいらないか、素手で拾ってその辺の蛇口で手を洗えばいいもんな、などと計画を立てていた。それからインターネットニュースを見ていたんだけど、女は貧困から抜け出せないんだ、コーヒー代の五百円ももったいないんだという記事を読んでいた。いや、貧困は大変なんでしょうけど、コーヒーの例えは全然ピンと来ないんだよな、コーヒー一杯五百円は普通に高いので。なんだろ、コーヒーは豆からいれるタイプで~とかいう話でもないけど、おれがセールのときだけ買う高いコーヒーというものは百グラム五百円で、それでも十数杯分なのだから、一杯五百円と言われると普通に引いてしまうんだな。メディアが貧困といって囃し立てているひとよりさらに低いレベルの価値観を持った人間ということが確定してしまったわけだが、どうしてくれるんだ?
それで、出かけた。みんながお祭りでワイワイやってる喧騒を背に川で石を拾ったわけよ。実際そこまでワーワードンドン聞こえていたわけでもなかったが、いつもからは考えられないぐらい徒歩の人間がいたので、さぞかしジロジロ見られたことであろう。それで石は結局九個拾った。それだけ疲労とさすがに重い、万全の態勢で臨んだため持ち帰りに何の不都合もなかったが、ただただ重かった。その重い石を肩にかけたまま、ガレージの古書店へ。国立国会図書館デジタルコレクションの本があったので割と速攻で買いましたね、これはいつもお世話になっているから愛です。その本を物色しているさなかにもすごい数の徒歩の人間がいたので、祭りのパワーはすげえなと思った。徒歩の人間が多いと、こんなところに古本屋あるーっ、汚いーっ、キャハハみたいな声が聞こえる確率も高くなる。
帰ってきて石を洗ったけど、赤みがかってデコボコのチャート? があって、それを水で洗ったらなんだか分からんが猛烈にグロく思えてきた、室内に入れるのがためらわれるほどだ。まあ敷地に砂利があるから捨てればいいし、砂利に置いとくのも嫌だという感じになったら川に捨てに行きます。本当は砕きてえんだけど、ハンマーがねえし、そもそもチャートって固いはずだから、自然のパワーで割れたやつ探す方が圧倒的に楽だな。夜中には鬼のように肩がこってきて完全に終わってしまった。肩周辺をいたわりながら本を読んだんだけど、床に座ってみたり、姿勢を変えてみたりしても首や肩がゴリゴリでめんどくさい。そのくせ横たわると完全に楽なのでムカつく、これは酒も諦めなきゃならないかな、と考えたときぐらいから治ってきたので、意気揚々と酒を持ってきて、飲んだ。痛みにより失った土曜日を酒で取り戻すんだ!! その寄った目でAmazonを検索して分かったけど、岩石標本は百種類とかじゃなければ思ったより安い値段で転がっている、ただ思ったより安いというだけで「貧困」それもメディアに想像がつかないレベルでの貧困であるところのおれに買える代物ではない。宝石なんかもってのほかだな。しかしなんつーか、宝石も地球が出してる限定メニューみたいなとこあってかわいい。