ぐ戒

午前十一時過ぎの起き抜けには、古書店でうっすら濃い青の帯がついてる本狙っていたのに目の前で持って行かれてしまっていや必ず欲しいってわけでもなかったけどと言い訳をしながら結局別の商品を探してしまうしその商品を持った奴がウロウロするのもムカうく夢を見た。なんだよこれ、いつものおれじゃん……。あと、鉄腕ダッシュでコーヒー豆洗い選手権に出てる夢を見た。最近遠ざかってるコーヒーの本の知識みたいな夢だな。あとあと、トイレの鍵が壊れたっぽくて謎の鍵をガムテープでつけてあったんだがこんなの鍵の意味ないでしょと思う夢を見た。実際もう剥がれかけていた。さらに、酒造見学に来たんだけど愛という名前の酒のラベルをバーナーで焼いてから霧吹きで濡らす工程があって我々は細部まで拘りますと紹介されたんだけどここの作業員になったら酒蔵で働いてる自覚失いそうだなと閉口したがとりあえずこのラベルはどれぐらいで乾くんですかと質問すると一両日中ですと返答されたので随分長いんだなとジロジロ見ていたら間違えて机に無造作に突いていた肘で別のラベルを引き裂いてしまっていたが特に見ないふりをしてやり過ごそうとしたところ同じ見学者のジジイが初めから破れてたみたいにすっとぼけてくれたのでこころの中でいいぞとガッツポーズしつつ全力で乗っかって次は鮮魚コーナーに案内されたのだが明らかに社員食堂だしどこ行けばいいのかと見てみたら奥の方に使い捨てのプラカップが並んでいてそこに刺し身と思いきやスイカが入れられている夢を見た。これ長い夢だったので完全に覚えているな、もう酒関係なくなってるじゃん。起き抜けには、ここの漢文の空白に入るのは魂魄か魄魂かと悩む夢を見た。魂魄でしょ。
おいおい、元号が変わる日に雨かよ、天皇も大したことねーなと思っていたら、当日になって急に今日も明日も曇りになっててびびった、紛れもない陛下パワーだ。まあ曇りってなんだよって話でもある、本当にそんな力があるなら晴れだろ。しかし今日はどうするか、もともと出かけるつもりもなかった身だ。今日買い物すると確かに印象には残る、それは間違いないのだが、月末に本は新品も含めてそこそこ買ってるから別にいいか、となった。どうせ買っておいた酒も飲むんだし、飲酒運転というわけでは当然にないが、ずっと家にいればそれだけ酒を飲む時間を早められるんでね。そんなことを考えていたらどこかでウグイスが鳴き始めた。幻が鳴いてるよね。
インターネットニュースを読んでいたらインドネシアで首都を移転するんだという話が持ち上がっていた。なんか前も似たような話を聞いた気がするが、それがインドネシアだったかな? いや南米の国だった気もする。忘れたがとりあえず十年ぐらいかかる大事業らしい、そりゃあ当たり前だな、国の根幹を変えちゃうわけだし。よーし、ここはひとつ、インドネシアの首都を大阪にしましょう! 都構想や!! そんなこんなでブチ上がりつつ、手は粛々と音楽を作っていた。ようやく車に轢かれた精神的ダメージも回復したんでね。しかし感覚を戻し切れてないのでノロノロ運転みたいな進行になった。あとインターネットで天皇陛下の退位の様子が見られるってことで、さっそくユーチューブに向かった、おいおいユーチューブかよという気がありつつ向かったら案の定というかなんというかブチブチ通信が切れまくって天皇や首相がカクカクしていた。つーか、退位礼正殿の儀みたいなもんでもアングルビシバシ変わるし、1カメ2カメみたいな概念あるんだな。機能的な話なのでアラビア数字を用いたが。陛下、目線お願いしますみたいなカンペ出てるのかな。
夕方には先程宣言した通り、お祝いモードを酒で高めていた。まあストリートビューもしていたんだが。このときの怠惰が日記の遅れに響くなんて、思ってもみなかった、と言いたいが完全に予想できていた。夜にもテレビを見ていたけど、テレビカメラに向かってじぶんたちのことを「平成を思いっ切り楽しんだふたりです!」と紹介できる神経すごいな、人間としての輝きが違う、おれには必要のない輝きだが。で令和を迎えたので、三十五度の甲類焼酎ワンカップルマンドでよろしくやっていた。しかし三十五度の甲類焼酎をワンカップで売り出すのヤバいな、おれは一気に飲みはしないが、ストロング系チューハイとかまったく生ぬるいよな。日本酒を飲んでいれば日本酒がうまいし、甲類焼酎なら甲類焼酎を楽しめるのだけは良かったと思える、舌がいい感じに痩せている。過去、酒の消費が一番激しかったのって酒屋でバイトしてた頃で、そのときは箱ワインを毎月購入していた。ただそれでもいわゆる酒豪的な消費量から言えばチンケなものだろう。毎月というのはつまり一か月で飲み干すぐらいだったわけだ。あのときはほぼ毎日飲んでたんだけど酒屋を事実上クビになってからすぐさま消費量を減らすことができたのも我ながらすごいと思える点だ。履歴書には書けないけどな。ちなみに三十五度の寳甲類焼酎はワンカップと一升瓶しかラインナップがなく、クソバカ御用達のペットボトルはないらしい。純三十五度のペットボトルはあるので技術的にはできるはずだ。まあ、どこでも見かけるその純をおとなしく買っとけやという話なのかもしれない。