ぐ戒

古書店の斜め向かいにあるオフィスでバイトをすることになったんだけどほかのやつには作業が割り振られたのにおれにはなかったので何かやることないですかと質問したら花瓶の掃除を依頼されたし雑用じゃんと思いながらも淡々とやり終え体験的に入ったからそろそろ帰る時間になったんだけどここで急にお笑い界の大御所が劇団を引き連れてやってきてどうもここはそのマネージメントをする会社らしく次のコントの大掛かりなパンフレットが全員に配布されたんだけど初回公演から現在に至るまでに死んだ重鎮は赤い背景に記されていてなんだ結構不謹慎だなそれにしても帰りたいなと考えていたがひとまず大御所そのものは無理だしさっき花瓶を洗うよう指示を出してきた上司に相談したらじゃあ帰ればと言われたので軽いじゃんとこころの中でびっくりしながら黒ずくめの集団に紛れるようにオフィスを出ると政府から労働緩和令が発令されていたので向かいの学習塾でもバイトすることになったんだけど塾長が東南アジア系の外人だったのでいきなり警官に職務質問されておりおれは塾の中でまたひとり状況から取り残されるという夢を見た。この記述の中にある労働緩和令って、労働しなくていい方向じゃなくて労働もっとしていいよってやつなので普通に悪夢ではないのかと思った。あと、踏切がないのに鉄道が来まくる多重交差点に差しかかり車も交差するのにどうやって運用してるんだと思ったらみんなが電車迫ってるよと叫び始めてので慌ててなんだか分からない建物の外壁によじ登りその上に腰かけるとすぐさま電車が来て危ないしその壁の高さからだと向こうのタコが描かれているビルの火災がよく見えるし心配していたらそのさらに向こうから花火が上がり始めたしそのうち沈下して花火も終わったんだけどいつまでもここにいるわけにいかないしどうにかして多重交差点を攻略しなきゃと思う夢を見た。攻略と呼んでもおかしくないほど、ありとあらゆる車や鉄道が集う場所だった。あとあと、魔法少女が二手に分かれておれはピンクの奴目線でメキシコの岩山というか路肩の巨大な岩の集まりに登り高さ百メートルまで来て望みのオーブをゲットしたらめちゃくちゃ重かったしここからもうひとりの黄色の魔法少女がワープをする手はずなんだけど重くて距離が出ないという理由で密着して小刻みにワープし始めたし仲間のいる駅前まで来たところでその仲間にあっレズなんですねみたいな目で見られる夢を見た。これは最後の方はギャグまんがのようになっていたのでよく覚えている。午前九時の起き抜けには、勝手に水道を根元から変えた上に割り込んでくる下品な男がいたので勝手に使うなってかと思って仕方なく横の棚から伸びている貧相な水道を使って手を洗い部屋に戻ろうとしたらトイレの前に手掛かりとなる枯れた花のゴミがあったので隠すために捨てたら案の定さっきの奴が女連れでそれに用事があるみたいな目でやってきたし何かご用事ですかと完全阻止する夢を見た。珍しく今の家の夢だったな。起き抜けには、東南アジアでも顔が命という夢を見た。完全に覚えていない。
夢をたくさん見たので記録に熱中してたらもう十四時ということになってしまっていた。今も夢を追いかける少年だから仕方ないね。とにかく今週の金曜日は二十度まで気温が上昇するという話だったんだが、それがさっそく撤回されていたので、なんだよつまんねーなとなっていた。昨晩も寒い寒いと思いつつ気温を確認していなかったわけだが、今更になって確認してみると予報値よりかなり低かったらしい、道理で寒かったわけだどワンテンポ遅れて納得するなどしていた。ところでこないだも日記に書いたけど、インターネットニュースを見ていると老人の電動自転車はどうも危ないぞ、死亡事故も出ているんだという記事が出ていた。記事には、「活動範囲も広くなる。一度乗ると普通の自転車には戻れないでしょう」と書いてあったが、そんな、一度味を知ったらやめられない覚醒剤の謳い文句みたいなことを書いて、どうするつもりだ……と思った。まあ、そういう冗談は置いておくにしても自転車がある意味合法的な快楽装置だというのは分かる。分かるが、老人でもそうなのかな。ヨボヨボの老人は無理せず三輪車みたいなチャリに乗ってのろくさ走ってればいいと思うんだけど、機械で魔改造されたチャリを渡されると普通にスピード出すってのがすごい、本当に気持ちいいのか急ぐような人生なのか。でも、自転車乗ってていつも車に無茶な追い越しされる度に考えるんだけど、信号ギリギリで無視したりとか、あるいはそういう追い越し、無茶な運転までして急ぐことって人生にあまりないと思うんだよね。ましてそれで何もないところで急ぐならともかく、ひとを傷付けたりするわけでしょ。加害者になる可能性を天秤の向こう側に乗せてまで急ぐっていうのはどういうことなんだろうか、本当に分からない。
ガレージに行って、商品を選んでいると店のひとたちがどかどかを入ってくる。これは商品の入荷だと知っているのでおれは動じずに店内を物色していたが、そのうちになにかここのボックスを開けたままにするなとかそれは用事があるから開けたままにしているんですというちっちゃい小競り合いが始まる。さらに女の人の方がでかい声でだ〜か〜ら〜みたいに言い始めて、かなりの怒鳴り合いになったのでめちゃくちゃ居心地が悪くなってしまった。しかもそこで急に出て行ったら絶対にこの怒鳴り合いが原因だとバレてしまうので逃げることもできず、ひとしきり怒鳴り合いが終わって店のひとたちが機嫌悪そうに店内を無言でウロウロするみたいな最悪の雰囲気を味わうこととなった。結局、配達のひとがやってきて空気が変わったので、そこで入れ替わるように出ていったんだが、ひょっとしたらおれに気付いてなかった可能性もあるな。なんか労働のああいう面を見せられると縮み上がってしまうんだよな。おれが働いている身分だったら泣きじゃくって帰ってしまいそうだ。でマンションの方も見たけど、一番いい本だけ売れてて、それはハードカバーだから買わなかったんだけど、そっか、おれの見る目はやっぱり正しかったんだなと実感できたので良かった。
帰宅してすぐリリース作業をしたんだけど、向こう側のパソコンが遅くてアップロードというか変換に異様に時間がかかってしまったので、リリース自体は深夜になってしまった。音楽の話だからついでに書くと、Free Music Archive がほぼ閉鎖確定しているのを今日知った。アーカイブオルグに音源を移動するから音源的な心配はしなくて良さそうだ、という話だった。おれが Bandcamp を使わないのはこういう閉鎖が怖いからなんだよね、まあアーカイブオルグが無敵というわけではないが、可能性は低そうという感じなんだ。改めて他のところにアップロードし直すっていうのも、リリースの数が多いと非常に面倒だからね。