ぐ戒

ダンスの練習をしていた女が死に透明のうさぎ型の棺に入れると猫のリアルな耳をつけはじめたのでこの夜の駐車場で一番好かれてないのは誰か分かる夢を見た。最初は夜じゃなかったことが記憶にある。あと、いつまでも芭蕉でいるから死に切れないなと思って子供の姿になり東京の坂を連れ回され上り坂にある高層マンションの駐車場にたむろする褌を締めた女達に睨まれつつ目的の会館を見失い夫婦ごっこは峠を越えると美しい緑とさりげない道路標識に囲まれた墓地だったしそれが思い出としていつの間にか取り扱われ実際にいるということになっている自宅ではカード端末が抜けてインターネットにつながらず発狂してたら県内のハッカーのせいだったと出ている地方紙を回し回し宴会が行われていたしその翌日宴会のもう済んで閑散とした中国風の照明もない喫茶店の奥の椅子に座り直しに行く内容だった。褌のシーンと喫茶店のシーンを良く覚えている、そりゃフンドシは衝撃的だからな。喫茶店のシーンは起きる直前だったこともあるだろうけど、暗くて悲しい中国の喫茶店というシチュエーションが強烈に郷愁のようなものを(ようなものというのはおれがまだふるさとと呼ぶべき場所に済んでいるからだが)掻き立てられたから記憶にあるんだろう。それほど客の気配が感じられなかった。
早く起きたのに三十分以上二度寝してしまって結局寝坊したことにかわりなく、いやその早く起きたことだって寝坊である以上大寝坊と呼ぶべきで、その現状及びおれの我慢の足りなさというか睡魔に対する無抵抗さ加減というか無意識の勝利感というかその全てが両方の肩にのしかかってきて自己嫌悪も甚だしい状況をよく理解しながらニュースを読み、温かいうどんを食った。アラームをつけることが義務になりつつあるのも嫌なんだけどもう既にそのアラームをすら無視し始めている現状というものはまったく失望という言葉以外では表現ができない。どうして夜中、寝る直前まであんなに眠くない風味なのに、朝はこんなに睡魔の誘惑に負けてしまうのか、何年たっても、つまり教科書を枕に惰眠を貪っていた学生時代から何年たってもまったく理解できず、かつ慣れず、そのためにまた読書中に眠たくなるという悪癖まで背負ってしまったので、なんとも悲しいことだよこれは。
雨の予感もなく明るくていい曇りの日だが若干寒いし気温差がひどすぎてどう考えても体調を崩すわって感傷の中雑誌のみを買いに出かけて雑誌のみを買って帰ってきた。だってビームせどりがいたからね、もう奴らは隙あらばいるよ、ブックオフじゃなくてビームオフだよ、いやビームオンだよ、ブックオフでビームオンだよクソが。あいつらがいると購買意欲が下がる、だからといっておれという高級な無職の客が減るんでナントカシテクダサイヨーって話じゃなくて単純に焼き畑の土を拾いたくないだけの話なんで、ビームせどりなんざAmazonの価格を参照してるから当然マーケットプレイスで売るんだろうしできるだけ古書店として登録のあるところからしか買わないと決意している。古物販売かなんかの許可とかでも簡単に取れそうだな。実店舗のあるところを条件に含めておくか。とにかくビームせどりからは買いたくないし、ビームせどりの手垢のついた本を読みたくない。
ヤングガンガンの感想は書かないんだけど17回もゲストに呼ばれて連載にならなかった作品のひとが連載をもらっていて本当にホッとした。報われる世の中で本当に良かった。