ぐ戒

ある男が念願だった山登りを車で行うことになって頂上に向かう道が斜度四十五度ぐらいだったので確かにこれは歩きでは厳しいし車だったら遭難する可能性がないもんなと納得しつつ後部座席に乗っていたら頂上は展望台になっておりここから三十年前の東京が見られるらしくまだ高層ビルが少ない下町をその男は右から左に何度も舐めるようにビデオカメラを動かして撮影していたしその映像は酔ってしまいそうであったしこっちとは無関係の添乗員が横浜はさすがに見えませんよと都会ジョークを発していたが意味が分からずとにかく高層ビルはないが山のてっぺんとほぼ同じ高さまで縦に一直線に積み上げられた一軒家が複数あってどうやって上り下りしたり生活したりしているのか不明だったし落ちたら死ぬでしょと心配してたら連れがそこの家は犬猫しかいないよと言ってきていや低い柵しかないし猫はともかく犬は死ぬじゃんと反論していたらまさに猫が落ちてしまい受身の体勢を取りながら地面すれすれのところでムササビのように飛んだのですげえ初めて見たと興奮していたらさらに地上で木を巻き込み背景に溶け始めたのであそこに猫がいるんだよと説明していたらまた景色が全体的に溶け出しどこに猫がいるんだと言われたときにはアメコミヒーローが複数ウロウロしていたので確かに猫はいるんだがどうも異世界に来てしまったみたいだなと返答しとにかく近くにいたふたりと酒場へ情報収集に向かったところ日本語が使えるし日本円も使えるので多少変だと思いつつまずは酒を注文しなければならないのだが連れのひとりは働かずに酒が飲めるかと去ってしまったし二百十円の小さいワインを注文したら連れは細いワイングラスから全部こぼす勢いで注いだし怒っていたら仲裁に入った女店員は最初から注ぐつもりがないぐらいの勢いで全部こぼしたのでアホか返金しろやと激怒しつつも残ったワインを一気飲みしていたら店の奥から名前変更士の男が出てきて名前が悪いんだよと勝手に我々の名前を変更していったので外に出ると確かに連れは知り合いに出会えるなどいいことがあったみたいだが名前を死出の田長にされたおれには何もなく腹が減ったのでラーメン屋に向かうと若くして結婚したふたりのうち妻の方が元の世界に戻る方法を知っているらしくまずは生々しい子作りの話から聞かされる夢を見た。よく覚えているが特に猫がいたシーンのジャンプがすごいな、猫に意識が言った瞬間にこちらの世界が変わってしまっている。あと、ブックオフのバックヤードに入ることができたんだけどたくさん設備のあった昔と違って今は在庫の本が棚にびっちり入れてあるだけであとは机と椅子ぐらいしかなくしかも店長が説教中でそんなだから店員が逃げるんだよと別の店員がメタ説教している状況だったので店に戻ると欲しい本は一冊だけであり五百円の本が九円になっていると思ったら児童書だったので全然欲しくない夢を見た。確かに児童書にはカスほどの興味もない。あとあと、キャラクターふたりで装備整えてボス戦に向かうと割と負けそうなので面倒だしニューゲームするかなと諦める夢を見た。あと砂漠を旅する夢と、恋人はビニールをかけた本の束だという夢を見たが詳しく思い出せない。起き抜けには、ギリギリ横断歩道を渡れる時間なので全力疾走する夢を見た。よく覚えてないけど全力疾走はダサいよね。
ごはん食ってるときNHKのニュースでミス・アメリカの水着審査廃止ってやつを見たけど、運営はほぼ女で、「内面を見てほしい」とか恋するオタクみたいなこと言っててやべーなと思った。ミス・アメリカが水着審査を廃止したところで結局顔面で選ぶのだし、おう結果見とけよって感じなんだが、そもそもその方針転換は過去の受賞者を侮辱しているのかって話だし、水着審査のあるコンテストへの出場は強制でもない、それに建前上は今までも内面を見てきたのではないだろうかと思うし、何もかもが変だ。本当に内面を見るというならミス・アメリカの出場者を全員バーチャルユーチューバーにすればいいんじゃないかな、こうすることで百パー外見は見えないわけだし。しかしマジで意味が分からんな、そうすることで過去現在未来の出場者のいずれかが女の権利が向上したと感じるんだろうか? 主催者や運営、どこかの団体がそう感じるだけではないのか? レースクイーンだかグリッドガールだかを廃止したときの話みたいじゃん。
キーボードの話をしていたらUS配列最高という気分にじぶんひとりだけがなってしまった感じだが、正直ローマ字変換しかしないのにひらがなが印字されたキーボードを使う意味が分からないんだよね、とはいえ激安のキーボードは大概日本語が印字されているものであり、まあ確かに老人には、とも思わんでもないが、それだったら無理して五十音順にキー配列を変えたやつを売ればいいわけだし、やっぱりよく分からん。スペースキーが横長じゃないと気合が入らない。まあおれごときが気合を入れたところで書くのはこの日記ぐらいという体たらくなんだが。ところで今日は雨が降るという予報だったんで家でゆっくり本を読んでいたんだけど全然フル気配が鳴い。結局午後四時ぐらいになっても降らなかったので、これなら出かけた方が良かったということになった、また騙された。数学の本は微分の話になって、個人的には興味津々であるはずだしそうありたいのだが脳が勝手に眠くなってしまう。本当にこの辺のやる気のなさというか無意識の眠さのコントロール感の悪さというのは何だろう、まったく仕組みが分からない。眠さがコーヒーで薄れたことはないがコーヒーを作ることでは眠気が取れると気付いたので、とりあえず立ち上がりコーヒーを作ることに。小さくなったメロンパンを見つめていたら無性にむなしくなってきたので、コーヒープレスの金属部品を重曹浸けにしてきた。ひさしぶりだから目安量忘れちゃったな。ただ、そのまま二時間ほど浸け置きしていたら、汚れが落ちまくってきれいな重曹水が麦茶みたいな色になってたので、テンションが上がってそれらを磨きまくってしまった。
夜、ようやく本が届いていたことに気付いたので検品をしていた。表面が汚れているだけで特に目立つ傷などがないきれいな商品だった。そういや夕飯時にテレビを見てたら、紀州ドンファンのいとこが手をかけてる机にのどごし生の缶が置いてあった、おいおい、話に立体感が出てきたな。つーか、ひとが死んでいても紀州ドンファンみたいなニックネームがあるとみんな笑顔になれるんだから、死んだひとにはみんなハッピーなあだ名をつけようぜ。一方タイランドではバス運転手同士が棍棒を使って殴り合いを繰り広げており、タイ人に「犬のケンカ」呼ばわりされていたのでゲラゲラ笑ってしまった。ハッピーそうだな。