ぐ戒

正午過ぎの起き抜けには、台所でかっこつけてる写真と和室から衣服だけ下がっている写真を見てこれじゃ写真集として機能しないだろと思う夢を見た。逆に成立しそうだけどな、この場合の逆というは逆張りという意味です。あと何らかのメールが大量の迷惑メールに紛れている夢を見たが詳しく思い出せない。この時思い出せなかった夢が今思い出せるわけないよな。午前十一時半にも一回起きたんだけど寝苦しくて起きたので全然夢を覚えてなかったんだよな。さっきの夢が思い出せなかったのもこのせい。まあこの辺りは気温に慣れるしかあるまい、これからずっと暑くて寝苦しいんだろうし。
蒸し暑いといえば梅雨とかなんだが、北陸に住んでいると梅雨入りだとかなんだとかいう実感が一切ない。だって北陸とか東北地方の梅雨入りって、だいたい九州とか太平洋側の梅雨入りに平年の値を足してるだけでしょ。なんか九州か関東辺りがまず梅雨に入って、そこからしばらくして雨が降ったらじゃあそこから梅雨入りですよみたいなシステマチックなものだし、それでいて天気はというといつもぐずついている北陸なので大して変わりがない、それで実感がない。実感がないにもかかわらず、梅雨という字面にはなんとなく嫌な雰囲気がある。こういったわけで結局そこはかとなく嫌な気持ちだけがまとわりついているわけだ、それこそ湿度のように。なんか日本サイコー、オモテナシ〜みたいな動画がひどいとかいう、煽りがすごいメッセージが流れてきたのでひとまず見てみたけど、、まあ街で変な看板見たぐらいのテンションの上がり方はあってむしろ面白いと思ったよね。むしろこういうものが出てきたという事実から時代を読み解こうとするような態度の方がダサいんじゃないの。時代とかないでしょ。こういうのはベトナムで占い師の言うこと聞いて相手の口にニンニク詰めて殺したニュースみたいなもので、面白いけど時代を読み解くパーツではない、もう忘れろ、変なニュースを見ろ。
今日は一応終日降らない予報であるはずなので一応出かける準備してみたんだが、雨雲レーダーを見ると変な雨雲が切り身のように海上を漂っていたので、結局出かけるのをやめてしまった。雨にビクビクしながら出かけるの嫌だし、図書館に持っていくノートが濡れたら最悪だからな。せっかく家にこもることに決めたんだからポッドキャスト聞きながらめちゃめちゃPDF掘っても良さそうだけど、それをやると本当に延々とやってしまうので、とりあえず先に本を読むことにする。地名の本も半年ぐらい放置してるからいい加減読みたいんだよなと考えつつ手に取ったのは数学の本、簡単な内容であるはずだが、それでもやはり眠くなってしまう。それでも眠気と戦って読んだので偉い。頭に入ってなさそうなところは後でもう一度読み返すとするか。
セフレこと世界ふれあい街歩きパラグアイアスンシオン。川から上陸、パラグアイ川があるのか。日本の日本橋みたいなもんだな。公園か小さい広場か分からない場所に入って、屋台でミルク入りのマテ茶を見る。うまそう、か? というかマテ茶にミルクというのは結構ポピュラーな飲み方らしいのだが、おれは一度も試したことがない、そんなに濃く抽出しないので。抹茶オレも結構濃い目に抽出するでしょ。とにかく屋台のひとがグアラニーのカチャカ・ピニー? という音楽で踊っている。しかし大統領の官邸が間近にあるのにあんな屋台があるのもすごいな、さすがに官邸はきれいだがすぐそこに汚い下町があるという構図がよい。官邸を守る警備員は炎天下にスーツを着用していて、精神論で返事してくるのかと思ったら普通に暑いらしい。下町に戻るとダンボールを全身に被って歩いているガキがいる。再び公園のような、あるいは通りの少し緑が多い場所に出ると、そこに根っこを大量に並べてる屋台。これがどうもテレレらしい。いやなんかそれは知ってたんだよ、マテにかぎらずらいろんな薬草茶のことをテレレと呼ぶらしいということは。それでマテという言葉の意味はただの茶であるみたいな。そういう記憶をおれが掘り起こしている間にも、精力増強と言うときに拳をぐいっとやる男がいて、おお……NHK……と思った。その次のシーンでは放置された機関車でガキが遊んでおり、近くにはうっすら線路の跡がある、それをなぞるように進むと閉鎖された中央駅があるという見事な誘導。だが中央駅では運転士がひたすらに自慢を繰り返してきた、新婚旅行の思い出などを。ここで歴史コーナー、グアラニー族はスペイン人に降伏したから文化が残ったとのこと。良かった話か?  戦争で成人男性の九割が死亡したというのは結構エグい話だったな。で、戻って、南米によくいる道路塞ぐタイプの大道芸を見ることになる、綱渡りとジャグリングをやってるんだけど、綱はどうしてるかというと歩行者側が青信号になったら大急ぎで渡して、それを渡ってジャグリングするといった風情。運動量がかなり多いな。しかも一日百回綱渡りしてるとか言ってるしかなりいい生活してそう。次は公園でボトルを立てに何本も乗せて踊る女たち、こっちは大道芸ではなく、パラグアイの伝統的なボトルダンスというものらしい。十本行くよ! という渋い掛け声がかかったので笑ってしまった。しかもひとりの女は「わたしは十八本乗せられます!」と自慢している。すごい世界だ。男が応援してくれると女は嬉しくて頭に何本もボトルを乗せられるらしい、いい話を聞いているはずだが、そこはかとなくアレですね。市場に向かうとまず靴屋がありこれはスルー、目の前で腸に詰めていくタイプのソーセージ屋を見る。店の上にはまるでゴムチューブのように大量の豚の腸がぐるぐると巻かれた状態で引っ掛けてある。血塗れの手で「手作りのソーセージからは愛の味がする」と言っていたのでかなり迫力があった。続いて市場の中で「チパ」を売り歩く女、チパはフェリシアナの娘たちが作っているらしい。チパはマンジョーカイモとトウモロコシと粉チーズで作る神聖なパンで、国民食とのこと、フェリシアナの娘たちという言葉は伝統的なものではなく、単にここのひとたち限定の呼称で、そのまま創業者の娘というほどの意味合い。全員メガトン太っていた。舗装が極めてゆるい良い道路に入って、ドラム缶で作ったチェロを直す男に遭遇。そいつがいるのはリサイクル楽器を使う音楽学校で、ここに入ってみる。なぜ全員がサイクル楽器を使っているかというと、ゴミ処理に従事する貧しい人間が多いかららしい。リサイクル楽器を逆にチャンスに変えるという気概は頼もしい。ここでもまた演奏させながら去るパターンのやつ!! 裏道に入ると、家々はカラフルだが道路が汚い、そこにとんでもなく太った男が上半身裸で喋っている。こんなデブ久しぶりに見た。ガキの踊りで無表情になったが、まあ祭りのために踊りを練習しているらしい。寄り道コーナーはサッカーの聖地ルケ。サッカーをするガキどもがいるが、まあなんつーかサッカーみんな大好きって感じですね。ビショビショの道路に異常な応援行列がやってきて、辺りを埋め尽くす。スタジアムにはもう入れない。じゃあ外で見ようということだが意外にひとがいない。彼らはゴールしてからテレビ前に集合し、それ以外の時は試合の流れを見ずに外でひたすら声援を送るらしい。どっちがいいんだろうな。高揚感があるのは後者かもしれん。戻って、さっきの住宅街の裏道に戻っている、さっきの太った男が歩き出したのでビビった、歩けるんだ、バラモスみたいな腹してんのに。デブも昔はサッカーで遊んでいたらしい。こいつが神様みたいな目線で語るのをみんなは納得して聞いているんだろうか?パラグアイ川のほとりに戻るとボートチームがいて、夕焼けで終わりという段取り。以上です。パラグアイ、まあまあ良かったな。