ぐ戒

午前十時の起き抜けには、CDをテープにダビングするつもりで家族からメロン色のラジカセを借りたんだけどこのラジカセはそこに張り付いている薄いポーチにディスクを入れる不思議な形式を取っているのでこれじゃダビング中にCDが回転してるかどうか確かめることも困難だしそれはつまり録音に成功しているかどうかも分からないってことだからひとまず中断してみたら慣性の力か何かが働きポーチの中でずっとCDが回転し続けていたので怖がりつつもテープを確認したら音がヴェイパーウェイヴみたいにのびのびになっていたのでドローンには使えそうだがじぶんの灰色のラジカセでやった方がマシだなと考えて用意していたところ間違えてじぶんのCDポーチを開けてしまい中から少年ジャンプの付録のCDなど懐かしいグッズがたくさん出てきたがひとまずそれは置いておいてとりあえず録音を開始すると八十年代のアニメから急に現代のアニメにスキップしてその映像までもがありありと思い浮かぶような内容だったのでこれってそんなCDだったのと驚きつつ没頭していたらメシの時間であることも忘れていたのでとりあえずは録音を最優先にする夢を見た。これアニメの様子も覚えていたしなんだったら今も覚えているが、アニメに対する描写力がまるでないのでうまく表現することができない。正午過ぎの起き抜けには、様々なお見舞いで病院に集まった我々が各々の病室を訪ねようとしたんだけどこの病院は何か身近なひととの問題を抱えたひとが多くて変だと言われたし実際ヤンキーみたいなひとが恋人の病室に入ったところ見事にケンカが始まってしまったし変というか大変だなあと考えているとヤンキーが戻ってきて恋人が消えたと騒ぎ始めたのでそこにいるガキに聞いてみたところこの部屋に飲み込まれたかもしれませんと病室の横の部屋の暗い通路を開けて見せたがそこは水色の縁取りがなされた奥の見えない怖い場所でこれは無限回廊だと思うし進んだら戻れなくなるぞとヤンキーに注意したのだがいやいいんだと突き進んでしまったし実際ヤンキー側の視点だとすぐさま光を失ってどちらへ行けばいいかも分からない状況になっていたのでおれの方に視点が戻りこれはヤバいと感じてそいつらが戻るのを待たずに建物を出ようとしたが既に崩壊が始まっており二階と一階の間の階段も分解を始めていたが先生たちはそうなると知っていたので自らの身を挺しておれたちを助けてくれたしおれはいろんな荷物を諦めて服と靴だけ身に着けた状態で命からがら逃げだして振り返ると既に病院はシーンとしてたし助かった者たちで励まし合いながらそれぞれの家に帰ったんだけど何日経過したかはたまた何か月も経過したのかまったく分からないまま帰宅すると玄関前にいた女のひとにあなたは誰ですかと言われてしまったので怖くなりそれ以上聞けずに自宅に入らず去ることとなり隣に家族がいたはずだぞと悩みながら道を進むと近所の穴さんの家が完全に新築に生まれ変わっておりマジで数年経過しているのかもとゾッとして急いで街を出たが大通りに差しかかるところには巨大な鉄柱が倒れかかっていて今にも倒れ切りそうだったがせっかく助かったのにこんなところで死んでたまるかと駆け抜けたら知らない道が広がっていたので引き返してみたらやはりおれの知っている道でもう一度駆け抜けるなどということをやって改めて近所の都市空間に突入し車がビュンビュン往来する広い広い交差点を地下道を使わずに渡りアーケードに無事入ることができたのでこれからの話を警察と相談しようと思っていたらアーケードの行き止まりで男が立ち止まっていて殴り合い祭りにお前も参加しないかと誘ってきたんだけど断るとそうだなお前弱そうだもんなといわれのない中傷を受けたし引き返す道すがらにあるコーヒー店では焙煎してから少し時間が経過したコーヒーを安売りしていたものの一番安い豆は売り切れており売り切れという意味で成仏中というラベルが貼られていたのでどういう趣味だろうなどと考えつつ再度アーケードを出て広い交差点に出ると大雨になっておりちょうど下校時間なのか学生だらけでしかもおれも含めて誰も傘を差しておらず走り回っているので混沌としておりおれも女子高生にウザ絡みをされてウワッと思ったので全力疾走する夢を見た。この夢は非常に長くて隅から隅まで覚えていて本当に楽しい。
とにかく夢の内容が長くて幸せだったし実際起きてしばらくの間は多幸感に包まれていたが、後半のやつって基本的には悪夢なんだよな、戻って来れない回廊とか崩れる建物とか家族がおれを知らないとか。でも最後さえ良ければ全部いいんだよな。むしろ鉛筆で目を刺すとか言われる方が怖い。これは何の話かというと芸能人女の夫が他人を脅迫したというニュースだ。そのニュースではこの芸能人女も同席していたと書かれていたため、あまり見ないパターンだなと思った、これだといつもみたいに「家族のやったことだから本人に関係ない」論法が使えなそうだよね。そして天気予報に目を転じてみると、金曜日やっぱ雨っすわみたいな予報に変わっている。なんで天気予報ってこんなにメチャクチャなの? 地球タクシー金沢編でタクシー運転手が金沢は天気が変わりやすいから云々、弁当忘れても傘忘れるな云々と得意気に話していたが、生まれたときからそんな事情に囲まれて生活していてもまったく慣れず、天気が不安定だということに延々とムカつき続けている。そして台風が来るから今晩は暑くなるらしい、最悪だな、十月何日だよ。ところで最近トラックボールチャタリングが激しくて困っている。これは買ってもらったものだということもあり、ちゃんと壊れるまで使い切りたいのだが、発生頻度が高いためソフトでは抑え切れない感じになっている。そこで、それだけでなんとかなるという甘い考えは一切抜きにして、トラックボールを分解清掃した。結果はどうだか分からない。予期せぬところで発生するからチャタリングなのであり、そんなにすぐに結果が分からないのだ。それがまたつらいとも言える。
今日は街の方面へ。まあだいたい交互に外出することになるよね、パターンを作るのは楽しいから。久しぶりに遠くのブックオフへ行ってみると、久しぶりであるにもかかわらずラインナップにそれほど変化がないため潰れるんじゃないかと不安になってしまったが、そんな中新入荷である数学の本を一冊購入。新入荷であることは値段で分かるんだよね、だって消費税が上がったから。でガレージでは蚊と戦いながら俳句の本を一冊購入した。これも別に前から買おうと考えていたものではないが、前回見たときには明らかになかったもので、しかもおれの興味のド真ん中のものだったから買った。ガレージさあ、まあまだ暑いってこともあるんだけど、まだまだご存命の蚊に一発刺されたし、別の場所で立ち読みしててふと手を見たらまた刺そうとしていたので、びっくりして店内で暴れてしまった。おいおい、あまりおれを暴れさせんなよ……。しかもガレージの古書店で買い物をするとき(面倒なのでアラビア数字を使うが)、バッチリ消費税10%取られるんだけど、110円に対して1000円札を出したら990円のお返しですと言われて実際に990円返されてしまったので二度見してしまった。おれは無職だが正直者なんでね、ちゃんと申告して100円返しましたけどね。そんな計算能力で会計に立たされてるのかわいそうだねとは思った。あと、ガレージから出てすぐの別の駐車場から車が出ようとしていて、おれが目の前を通ってるのに進もうとしつつギリで気付いてブレーキかけた、みたいな感じになったので、ジロッと睨んだら運転手の女が髪の毛をファサーって掻き上げてたんだけど、あれ何? なんで他人を轢きかけてるのにカッコつけてんだよ。でも犀川で雲に向かって斜めから日が差していて、雲がケーキみたいになっててきれいだったのでチャラになりましたねけどね。三か月に一回ぐらいの割合で犀川の雲がサイコーになる、それがとってもいい。
天気が良い夜にはだいたい走ってるんだけど、今日も走っていたら、風が強い中、犬の散歩しながらチャリを漕ぐという、傘差し運転と同じ禁止行為をやってるジジイがいてひどく迷惑した。でもそのジジイが引きずっていた犬がおれに吠えかかってきた結果、ジジイが自転車ごとぶっ倒れていたのでザマァと思って無視して走り抜けた。おれは子供や老人だから助けるなどということはしない、全部差別せず一般人と同じと見るし、決まり事を守らない一般人に差しのべる手などない。深夜には音楽をこねくり回していたんだが、同じ処理を三十三回繰り返さなきゃならないことに気付いてウンザリした、何か自動化できる方法はないかと一瞬考えかけたが、それを考えてる間に手作業で三十三回繰り返した方が早そうだったので、そうした。ちなみに小鉢疑いのカップティーカップみたいに平たいので、熱いお茶がすぐ適温になってくれることが判明したし、もう気に入ったから小鉢でいいぞ。