ぐ戒

コールセンターで労働していたんだけど明らかに残業だしそれにもかかわらず言えない空気を作られてるが無視して帰ることにして立ち上がったらみんながまだ電話をかけているしノルマが終わったと伝えると上司たちから済みたいなハンコを次々とデコに押されたし面白いがこのまま帰るの羞恥の刑罰みたいでキツ過ぎると思いつつ別の部署の上司にもう二十時なんで帰りますと伝えるとそうだよな~とノリノリで返事してきて友達とお喋りしてたんじゃないのかとツッコミを入れられたがイヤ友達いないんでと返事して元の部署に戻り荷物をまとめていたら湯呑を片付けないと汚いと注意されてそれもそうだなとそれを持って再度別の部署に向かったら流し台のある部屋の内側にバリケードみたいに椅子や机がギチギチに積み上げられていたので使えず引き返し部署を出ようとしたところに女が棒立ちになっていて火事に気をつけなさいと言ってきたのでなんでだよ見たのかと詰め寄る夢を見た。最後のやつ、今考えたらめちゃくちゃ怖い奴だな。これは夢ではないのだが、十一時半に一回起きて、これは元号チャンスと思って急いでリビングのテレビを付けたらまだ始まってなかったし、地元のテレビ局では芝生の上をワンちゃんが走ってるCMが流されていたのでイライラした結果、起き抜けの夢を忘れてしまった。
その新元号ですが、日本の古典から取った割にはパンチがきいてないなと思った。もうちょっとおどろおどろしいものが出てくるのかと思ったけど、まあ、そもそも画数の多い漢字は使わないのだろう。おれは中国の古典が好きなので別に中国の古典から取ってもらって中国人と仲良くしてもいいかなぐらいの気持ちだったけど、まさか和歌でないとはいえ万葉集から取るとは思ってもみなかった。不満はない、ないが……。しかし自国の古典を利用して元号を作るとこんなに盛り上がるんですね、古典の利用は実に楽しいと分かる。ところで最近、死後著作権保護期間が完全に意味も理由もなく七十年に延長されまして、我々は古典を利用する権利を害されています、これにみんなで反対して今からでも撤回させるべきだと思うんだけど、みんなはどう? あと令和は西暦から十八引くと求められるので便利という話を見たけど、それはさすがに一時期の平成に敵わないな。これは有名な話だけど、平成の一時期は西暦と午前午後の関係だったわけだし。テレビでは「命令の令かと思った」とか言ってるババアがいて、おっなんだ妖怪ひねくれババアだなと口に出して言ってしまった、お前だけ命令元年に行けよ。
今日は出かける予定モリモリ、だって新元号が発表されたんだし、記念に何かを買わないとやってらんない。しかし現実は非情、天気予報と雨雲レーダーが一致しておらず、天気はころころと表情を変え、雨が降ったりやんだり太陽が出たりしている。おいおい天気、今日ぐらいは天気を読めよと思ったがどうも無理らしい。ストレスからそうなったかどうかは不明だがしゃっくりで全身の揺れが止まらなくなったし、こうなった以上は出かけないと一日中ムカついてばかりだなと直感したので、天気の様子がどうであれ出かける準備をして出かけた。
で、ガレージで岩波万葉集の新装文庫一巻のみあったので、ブツの本と一緒に元号発表記念で購入した。実はこの万葉集は数日前からあったのを知ってたけど特に買う気にならなかったものだ。万葉集が年号に使われると予想していたなどとは言わない、しかし新元号万葉集が使われたとなれば話は別だろう。元号の典拠である第五巻が収められていないんだけどそんなことも承知の上だ、これで一生万葉集を買ったことを忘れないし、そもそも家には既に講談社文庫版があるから令和の元ネタはいくらでも引きずり出せるぞ。つーか、本当はもっと色々な店を回りたかったのだが、ガレージに入った瞬間大雨が降ってきたので雨宿りしまくって、結局晴れなかったから雨具をかぶって帰ることになったのでそのほかのどこも回ることができなかった。おめでたい日に何をしてくれてるのか、天気は許さん。あと、今日そのガレージで悩みに悩んで買うのをパスした本、念のため帰宅後に調べてみたら普通にデジコにあったし、これは得した感じがしたな。まあインターネット上にあってもローカルで読みたければ買うのですが……。夜には地元のニュースを見ていたけど、金沢市民が字面見てんのに「令ってどういう意味?頭を下げるということ?」と言っていたので笑った、それは「礼」や。あと令和という字面を見て「子供にも書けるかわいい字でいいですね!」と言ってる女がいてかわいいな~と思った。しかし、今年は倉庫破壊事件と令和のおかげでエイプリルフール感ひとつもなかったな。