ぐ戒

午前八時の起き抜けには、七時間前は五等分された肉だった夢を見た。何だこの夢、ホラーかよ。でもじぶんのことじゃない可能性も充分にあるし、じぶんのことだったらもっと鮮明に覚えていそうだからこれは普通の肉の話題だったと思う。午前十一時の起き抜けには、家の遠くから近所の先生の家に向かう途中、ほとんど家の近所に高架として線路がかかっていてそこを貨物列車が通っていく夢を見た。これは先生が肛門の専門家という最悪の肩書きを持っていたこともよく覚えているが、むしろそのせいでよく覚えていたんだろうね。だから頑張ればもうちょっと思い出せたはずなんだ。
で、この午前十一時に完全に間違えてはっきり目覚めてしまったんだよね、なにを間違えたかって正午過ぎだと間違えていた。寝ぼけたまま、最近十一時の目覚ましに気付けてないな〜とか思いながら着替えをしてパソコンまで付けたら家の様子がおかしくて、そこでやっと午前十一時だと気付いた。目覚ましもその気付かないとしていた目覚ましだったと、そこではっきり理解したので、なんだ、つまり、十一時と正午過ぎの目覚ましの音は違うんだよね、これもおれが時間に気付いて起きやすいようにという配慮なんだが、それは完全に裏目に出ているが、それをその時点で理解したってワケ。それでこれはちょうどいいから起きていようと思ったんだけど(いいぞ!)、今から起きても中途半端だとか、いやこんな起きようとして起きたのではなく勘違いで起きたのは不健全だとかズルいだとか、一時間得したから何なんだとか、十一時に目覚ましかけてる理由を全否定するように着替え直してまで寝てしまった(エーッ)。当然、普通の時間に起きてそんな判断を下したじぶんに嫌悪感を催したよ。まじでそんな理由で寝るんだったら午前十一時に目覚ましかけてる理由ゼロじゃん、せっかくつけたパソコンもご丁寧に消して寝てしまうとかなんなんだよ。あと、どうせ今日が暑いから間違えて起きてしまったんだろ? とかも思ってたか、とにかく寝るために全力で言い訳しているのがダサい。とにかくこの悔しさをバネに明日からまた午前十一時起床を目指していくしかないのかな。過ぎたことはしょうがないのだが、それはそうとしてじぶんの決断に腹が立つ。ご立腹です。
でタラタラとインターネットニュースを読んでいたら案外すぐ終わってしまって、まんが世界の話をチラ見することにした。中二病とかって忌み嫌われているじゃないですか、嫌われているからこそ自嘲的に扱われているんだし。でもそのまんがのネタとかならともかく、個人としていわゆる「中二病」的な部分を捨ててしまうのは完全にもったいないと思ってるんだよね、どうなんだろ、やっぱりみんな恥ずかしいから捨てまくったりしているのかな。中二病的な部分を捨てて現実を虚ろな目で見ているオトナの方がよっぽど不健全だと感じているんだよね、創作する気持ちを捨てて受動的な存在になっているというか。おれは今でも魔法のことを考えて生きているしそのことに胸を張っていて仕事のことは全然考えていない、むしろそういう気質がなくなったら世に頼むものがひとつもなくなるような気さえしている。この辺で出かけた。結果を言うと何も買わなかった。まずブックオフ行って何も買わず、そこから九十度曲がってキイキイと自転車を漕ぎガレージ行ってやはり何も買わず、図書館で抜き書きをしようと思ったら荷物置き場が使えなかったので身動きが取れず、しょうがなくただ書架を眺めて、へー小右記現代語訳なんか出版されつつあるんだと思いながら工事が終了しつつある古書店に行ってやはり何も買わなかった、という流れ。別に何も買わなかったことはいいんだが、二乗が重なって図書館で何もできなかったというのは悔しいな、何をしに行ったんだという無念が顔面にへばりついている。ところで漢文を校正しなければならないという展開がある、やりがいはあるんだが完全に面倒で、いつまでかかるんだ、その間他のことが何もできなくなってしまうんじゃないのか、と考えて溜め息をついている。現にこの日記を書いている現在、まだ終わってないしな。ともかくこの日は漢文テキストファイルを校正する予定を立てるだけで終わってしまった。
セフレこと世界ふれあい街歩きブルガリアのソフィア。寒色と暖色の路面電車が走る中モスクを横目に通りをグイグイ進む。言語圏はどうもロシアっぽいな、キリル文字だからということもあるんだが発音もそれっぽさがある。ゲブレックというパンの小さな屋台は繁盛しており、温泉水を汲むババアの革ジャケットは決まっていた。全体的に街から固い印象を受けるのは、建物がカクカクしているところに近代化の波が中途半端に押し寄せているからかもしれない、大通りの歩道の途中みたいなところに突然遺跡が出てきて野ざらし展示されていた。ここでロリコンスタッフが子供の列についていったので真顔になる。別の子供にも突撃かあ。めっちゃでかいキリル文字をガラス張りの建物の前の木箱から出して芝生に並べている、キリル文字ブルガリアが元祖だ感謝しろよスラブ民族みたいな話しててワーオハラショーと思った。結局でかいキリル文字の横にあったガラス張りの本がたくさん詰まった公園内の施設はなんだったんだろ、本がたくさんあったのでぜひとも見てみたかったんだが。ここでアレクサンドルネフスキー大聖堂内部へ入る。大聖堂内部にまたガキがいて絵を書いている、上手かどうかの判断は差し控えるがなんかエラソーだった。ついでとばかりにここで町の歴史を紹介、さっき野ざらしだったセルディカ遺跡とか聖ペトカサマルジースカ寺院? などが紹介されたが、共産党は別にありがたい歴史ではなさそうだな、失敗の歴史だから。街に戻ると結構車が多い、風情がない、それこそ共産党的な風情はあるが。ここでサイレンが鳴り響き急にみんなが硬直して目を閉じ始めた、六月二日の記念日における追悼とのこと、タイの国歌のときに硬直するやつみたいだった、タイは毎日やってるんだけどな。しかしこれで取材日がバレた。放送までに三ヶ月半以上もかかるんですか。路地裏へ回ると完全に社会主義っぽい、秩序すらない。蜂のために音楽をものしているという奇人が、やっと奇人が登場。音楽がどうして蜂に対する攻撃というか抑止力になるのかまったく説明されていなかったため、蜂に刺されたと言いながらおもむろにバグパイプを吹き始める屈強な男がいるという謎のシーンだけが放送されるハメになった。ここは実に良かった。ここでグルメコーナー、番組開始三十分でようやくブルガリアヨーグルトが出て来た。あとマップが表示されたけどほとんど大通りしか歩いてなくて残念だ。ちょっと寂れたというか乾いた商店街にあるキーキーいうてるハンガーのある店、日本にもワンピースを輸出したらしくて謎の興奮をしていた。なんか商店のファサードはどこも凝ってないんだな、無骨だ、商品受け渡し口しか開いてなくて店に入れないのは防犯のためじゃないの、ロシアのコンビニもそんな感じだっていうおもしろ画像とかあったよね昔。ここで適当に放置された古書をタバコと交換してるくじ売りおじさんという二人目の奇人が登場、さぞや歴史がある売り方なのかと質問したら二ヶ月前ぐらいから始めたとか言ってて歴史がゼロであり大変に良い、放送される頃にはやめてそう。寄り道コーナーはヴェリングラッドへ向かったけど、完全に観光地化した街、温泉地だからしょうがないのか。陰部がヤバくて太ったおじさんを銭湯に取材しないでほしかった。その後、温泉卵と温泉いもを作ってるおばさんから情報を聞き、渦巻く水で洗濯する洗濯屋へ。自然の中でただただマットなどを洗濯しているのでなかなか良い仕事の形態だと思った。仕事自体は嫌いです。で本編に戻り、靴を直す店が出て来る、が、店主が顔を出すところが地面すれすれになってる。これは店が地下にあるからなんだけど、どうもブルガリアには地下の店が多いらしい、しかし理由は説明されなかった。いよいよ終わりに近付き、近代化の象徴なのか、アートホステルでコンサートというくだり。壁にいろいろ絵が書いてあるーとか言ってるけど、街も落書きだらけだったし、あまり新鮮には感じない。なんかブルガリア人になりたいイングランド人が九ヶ月ほど滞在していて、その話で終わった。九ヶ月前か、彼はEU離脱の風をもろに食らっているわけだ。以上です。