ぐ戒

午前十時半の起き抜けには、自転車でいつもの坂道を駆け下りていたら県庁の前でひとをかすってしまったので申し訳ありませんと謝罪しつつさらに勢いを増すと横断歩道を渡った先の歩道がめちゃくちゃえぐれてて激しく転倒したしこれは一応工事中で一時的にこうなってるだけみたいだけどこれから二ヶ月ずっとこうらしいので不便過ぎるだろと愚痴ってはみたもののみんなが頑張れ頑張れと声をかけてくるのでようやく砂地になった斜面を這い上がり上りきったところで今度からは魔術で解決するぞと宣言して麓を目指したところそこには新キャラのタヌキ魔道士がいて全身を鉄にする魔法を使えて最初からレベルが十六もあったのでそいつを軸に全員のレベルを上げまくりラスト近辺でこれが最後かどうかは分からないがこの先は主人公ひとりしか通れないという和風の通路があったので持っていく武器を選定していたところそれ以降はタヌキが使えないと知りどうしてなんだと思っていたら画面にギリギリ読めるレベルのやさしい英語で理由が表示されて今まで使ってたこのアニマルシールは本当は簡単に動物を持ち運ぶために作られたものでしたと釈明し始めたのでこの画面のままにしてみんなに回覧し感想を求めていたらいつの間にか床中にアニメの目の付いたスライムが広がっていてヌルヌルで気持ち悪いからみんなで掃除していたところ突如青年のひとりが上着を脱ぎ始めありのままのわたしを見てとか言い出す夢を見た。最後の方、突然方向性がブレ始めてるな。でも長い夢だったのでよく覚えている。自転車で突撃する夢って本当に好きなんだなあ、普段から自転車で突撃したいなどという強い意志を持っているわけじゃないんだが。あと、キーキャラクターとその相棒の密会を物陰から監視しているとあっちの世界で名目上の銃殺刑になったのは何か意味があるんだろうと追跡してきたんだと相棒が言っており後日その相棒が演技でこっちのパーティーを襲ってきたのでめちゃくちゃ強い攻撃を当ててやったら心配になったキーの奴がうっかり相棒の正体をバラしちゃったんだけど気付かないフリをして相棒を倒してみたところそのふたりは台本通りに悲劇を演じ始めたが魔法であっさり蘇生して台無しにしてやる夢を見た。これ覚えてそうだけど、今となってはほとんど思い出せないんだよな、なんでだろ。蘇生魔法とかも、いかにも「らしい」夢なのに。あとあと、踊り場のでかい窓が左右逆になっていてそのせいでソファーに自然光が当たらない環境になっていたのでこれは気持ち悪いと家族に抗議したところこれは簡単に入れ替えられると窓をブチ抜かれて唖然としていたところを強引に手伝わされたので疲れてしまって別の家族のあとで出前取るかという提案を力なく飲んでしまったのだが偶然通りかかったリビングのテレビから石川県の労働快適指数は五十四で東京は七十ですと流れてきたので驚いていたおれの脳に直接労働ってこんなものさというテレパシーが流れてきたしとりあえず寝ようと思って固いから布団を入れ替えようと本宅へ向かったら間違えて敷布団じゃなくて掛布団を持ってきてしまったのでやり直しだと二度手間だしむしろここで寝てしまおうかなと考えていたところ本棚に昔新品で手に入れた十五年前の雑誌があることに気付いてこないだ長期連載が終わった作家のその前の連載が始まったときの雑誌だと今更ながらに興奮して読み始める夢を見た。こっちの夢はよく覚えている。布団を取りに来た本宅という場所がめちゃくちゃに寒くて決意が鈍ってた記憶すらある。
今日はとにかくおれが作ったシャツがあちこちに届いている様子を見て面白がっていましたね。おれが作ったと言うと語弊があるか、おれがデザインしてシャツは別のサービスが作っている、しかもジャケのデザインを流用しているため非常にコストがよく、さらにはおれ自身がひどく気に入っている、そしてみんなが買っておれがその金銭的な分け前をもらう、素晴らしい世界だなあとここまで書いているとめちゃくちゃ儲かってるように見えるんだが、別にそんなことはないです。そりゃ毎月パソコンが買えるぐらい儲かれば話は早いのだが、つまり労働回避が完成するのだが、さすがにそこまでイージーモードではないみたいだ。気温はしかしイージーモードで、今日はなんと真冬なのに十四度もある、さすがにこれは、当然春の基準からすれば寒いが今の基準にしてみると暖かい。こんな日には出かけたいのだが悪天候の予報であるため出かけられない。予報された気温の推移を見ていると、その悪天候により雨が降ったあと気温が急降下するみたいで、あまり恩恵を受けられない、困った話だ。とりあえずは再現したいフリーソフトのバグがあったので、ニュースそっちのけでそっちをいじくり回していた。何回かトライしていたのに再現しなかったというバグだったが、今日はようやくその条件が分かった、ほかのソフト前面に出してからデスクトップを表示してクライアントをクリックすると百パー再現できる。もちろんおれは開発者じゃないのでバグの再現性を機能改善に使うのではない。そうじゃなくて、そのバグが有るとウィンドウの切り替えが雑にできるんだよね、それをぜひともやってみたかったってわけ。
でここでようやくインターネットニュースを読む行動に移る。優しいニュース、優しいニュースはどれだ。今日は、でも、なんだろう、認知症カフェみたいなほっこり系のニュースを読んだよ。「今言ったことを覚えてないことも多いけれど、一瞬一瞬を生きていることを理解してほしい」とか書いてあったかな。『「まぁいいか」って笑える社会がいい』んだって。なるほどね~、おれも「労働をしていないことも多いけれど、一瞬一瞬を生きていることを理解してほしい」っていいながら、まあいいか~と言われたいよ。実際このコンセプトなら、いわゆる認知症の人間だけがミスを許される社会を作ろうというのはおかしいので、当然すべてのひとのミスも許されるべきだよね。つまり、究極は働かなくても許されるべきだ。つまりベーシックインカムです。あれっ、いつの間にベーシックインカムの話を……。まあおれも未来がないという意味では一瞬一瞬を生きているわけだ、弱者に優しくするというのは弱者の基準に社会が合わせるということであって弱者を特別扱いするということではないと理解すべきなので、もしそうあるべきというなら、大人がガキと同じように騒いでも許されるべきだし、認知症でない人間が認知症の人間と同じようにミスを連発しても許されるべきだと思う。なんで大人や健常者だけ厳しい基準で生きるべきなのか、精神論以外では説明できないんじゃないのかな。まあおれがガキに対して「そうあるべき」と考えることはほとんどないのですが、この態度はまさにこの理由、すなわち子供を特別扱いせずにみんなで暴れて暮らすという思想から来ている。
夕方まで家であれこれと情報を探っていたら雨がザーザー降ってきた。出かけてたとしたら発狂するぐらいの嫌な雨の降り方だな。なんかどっかの社長がARIGATOが行き交う社会とか不穏なことを言い始めていたのでビクビクしていた。なんで社長クラスの人間はえらくなるとすぐ「ありがとうを集める」みたいなことを言いますか? そういう気持ち悪さにはもうだまされないぞ、常識人であればあるほど。えらいといえばアップルが偉くなってポリコレチックな発言をするじゃないですか。でもあのひとたちって中国でアイフォーンを売るために中国の検閲に協力してるわけでしょ、その国の法律を遵守とかほとんど理由としては完成してないものを出してさ。でもこのひとたちって多分、露骨な人種差別が行われている地域で販売しますかと言われたらノーと言いそうなんだよね。それが巨大市場で見るからにひどい人権侵害がある国でも商売は商売とばかりに売りに行ってしかも検閲に手を貸してしまうというのは企業体の限界だと思うよ。カタい話にならないようにまとめるとこいつらはズルい! ズルいのに道徳を語るなバカ!!いきり立ってリビングのカーペットに掃除機かけたらめちゃくちゃホコリ出てきてテンション上がったけど、家族が掃除してないだけという気もする。こないだここで寝転んだ気もするんだよな。