ぐ戒

郊外にようやく新しいお店ができたので共同出資者である外人の知り合い数人と見に行ったんだが入り口のところでメンバーのひとりがもうひとりのメンバーの太ったおじさんを指差しこのお猿さんが店の原型の建物を提供してくれたわけだがもう眠いらしいから帰してやろうと言い出したので恩人をお猿さんってあだ名で呼んでるのかと驚きつつおれたちは店内を見て回ることになったんだけど内装はオシャレなバーみたいになってるし裏口のドアを開けると下は川なのだが板がわずかに張り出しておりここはひとり座ったらギリギリかなぁいや割れるかもしれないともう来る客のことを考えさせながらおれはといえは警察署に出向きここが新しく店になったんですけど一丁目の面積はこれによりどれぐらい増えましたか駅を中心にかなり広がったんじゃないですかと質問したら手でコンパスみたいにして測れば大体分かるでしょと言われつつも優しい警官は古本のカバーのない表紙にさらさらと落書きを始め何やってんだと反感を抱いたが傾けてみると立体的な巻き貝が浮かび上がってすげえとなったしこれを実際に使うためにはこうするんだと今度は建物を描いて見せてくれる夢を見た。面白い夢だったのでよく覚えている。最初、店を見に行ったときは全体的にイギリスっぽかったのに、警察署で見た地図は明らかに日本だった。あと家みたいな古書店にいた夢を見たはずなんだけど詳しく思い出せない、そのとき買った古書がさっき落書きに使われた本なのかもしれないが、記憶にない。起き抜けには、名前の最後がコで終わるアドレス帳を作っていたらこれも治療の一環かと揶揄される夢を見た。これは起き抜けの夢なのでまったく記憶にないですね。
今日はすごく珍しく晴れていたので、なんとなく気になっていたバンダナを洗って干した。バンダナは冬でもすぐ乾くから偉い。ただ冬だとあんまり汚れない。おれの部屋は掃除をサボることがあるのでどんどん汚れていく。おれすぐ掃除しない。おれ偉くない。時系列が逆になったな、ラーメン食ってるときに昼のワイドショーを見てたんだけど、レバノンに逃亡したカルロス・ゴーンの出国方法が「箱に入った」というものだったので、ゴーンに見立てた男のアナウンサーを黒い箱に入れてオオ~ッ、ワハハ……とかやっていた。みんなの思いはひとつなんだね。おれもその遊びめっちゃ好きだよ。あと別の番組では、新春なのでどこかの偉い経営者が一堂に会していて、そこでさも新春恒例といった雰囲気で今年一年はどうなるか、その展望をフリップに書いてもらうという企画が行われていた。基本的にこういう奴らのせいで格差が拡大しているわけだし、こいつ金持ちなのに字がきたねえな、教養がないのか、などと考えて平静を装うことにしたが、結局怒りがまさってムキーとなった。
晴れているので意気揚々と出かける。町の方面へ行き、昨年末に買い逃した本を買おうと全速力で自転車をこいだら、その甲斐あってか狙っていた本がすべて残っていた。そればかりか、本の種類が増えてすらいたので、じっくり厳選して自由間接話法の本を三冊と、毛の本を一冊買ったのだった。いい買い物だったが置き場所がないよね。困ったことだ。帰宅してからしばらくの間、こないだ見てた番組のことを考えてた。その番組にはMMTが出てきたので、これとベーシックインカムを絡めて喋ってるひといそうだなと思ったわけだ。そこで検索してみたら、のっけから「差別的なネトウヨ」みたいな矛盾した棍棒を振り回しているひとが暴れていたので怖くなってしまった。どうやらMMTは怖い話のようだ。確かに、金をジャブジャブ出したら景気回復みたいなことを言ったらキレるひともいるのかもしれない。ただおれはベーシックインカムをやったら経済が回復するとかいう立場ではなくて、労働システムに倫理上の問題があるからベーシックインカムを差し込めという立場なので、こういうひとたちとは衝突しないし、そういう論理からは反論も受け付けないから、ラッキーではある。怖いからね。こんなことを考えていたらすっかり忘れてた。本当は今日買った本に消しゴムかけなければいけないんだった。そこで消しゴムを手に取り、ポッドキャストを聞きながら丹念に消しゴムを書けていったのだが、正直読み終わった日付とかそんなつまらんもんは書かないでほしいんだよね、本に対する敬意が感じられないから。敬意がないんだったら捨てるときは焼いてほしい、売って金にするな。ときどき、本の書き込みを愛好するひとがいて、それはおれも理解できるんだけど、それはあくまで聖書みたいに超流通してる本のうちで個人史のようなものが書き込まれてる場合で、下線を引いて面白いだとかなんだとか、そんな書き込みを想定しているわけではないだろう。そしてその消しゴムをかけている本にはぐちゃぐちゃの栞が挟んであった、本当に何一つ大事にされてないな。本がきれいだったのが奇跡みたいだ。
夜中にはヤングガンガンを読んだ。あと、一ページだけ消しゴムかけが残っていたので、やれやれと思ってやっていたら、その古書からテレカが出てきてびっくりしましたね。結論として、序章にしかラインが引いてなくて、序章の終わりのところに栞が挟んであると、ああこいつ序章で挫折したなと思うのでやめた方がいいですよ。あと本にラインを引くのもやめろ。今回はその栞がテレカだった。