ぐ戒

喪が明けました。
とりあえず日記を飛ばした日々の夢だけは記録しておこう。まず運と金を使ってグロくない巨大な芋虫を殺そうとしたらオカマがアタシは運だけでベトベトに出来るとか言い始める夢を見た。ここでいうグロくなさは生物感の無さ、つまりメカニカルでプラスチックっぽかったということだ。あと新学期なのにカバンを盗まれたし昔の鞄に昔のバインダーとルーズリーフを突っ込んで学校に向かったら本日は所属する部活を決める日でしかもおれはなぜかもう入る部活が決まっているとか言われたので鞄から8年前の入学案内を取り出し俳句を音読する夢を見た。ここまでがジジイが死んだ日の夢で、おれが起きた時には既に死んでいたとのことなので、無理矢理解釈するなら俳句もやってたジジイが最後に俳句の夢を見せたと言うべきか、夢枕とか全然ねえもんな、これぐらいしかこじつける要素がない。
次の日は他局から来たアナウンサーがニュースを読んでいる様子を見ながら風船で動物の形をつくったのになかなか動かないってイライラする夢を見た。これは切羽詰まっていたせいかメモしてある内容に記憶が追いついてない。それで更にその次の日、火葬の日に、白黒の敵を倒したら我々がゴレンジャー系列のように色を与えられて走りだすみたいな内容だったけど呼び出し方法が1万円やるからすぐ来いという夢を見た。別に白黒だから葬式だということはあるまい、他の色はあったわけだし。それよりこのおれたちが1万円でおびきだされたその当の場所は近所にあるスーパーだったし、象に乗って走ってる奴がいたし、すごい人数でこの人数で1万円を割ったらひとりあたり300円とかになるんじゃねーかと予想していたことすら覚えている。金欲の権化っぽいな、葬儀の日になんて夢を見てるんだ。
それで今日の夢はというと、勝手に使われる、というフレーズから山小屋みたいなところにいた夢の残滓が頭の中で蠢いているけど思い出せないという有り様。当然そのメモが精一杯なので今日記を書いている時点で思い出せるようなものは何もない。そもそも夢に山小屋出てくることがあんまりないからイメージを呼び戻す手がかりになるものすらないんだと思うし、勝手に使われるという危機感にも理由がない。思い出せないものをいつまでもうじうじと考えていてもしょうがない、雨は降っているが風はないので窓ぐらい明けられるだろう、新鮮な空気をすおうぜと開けた窓から虫がブゥワーと入ってきたので全部追い出して窓閉めて鍵閉めた。なんでおれが虫のあまやどりのために自室を開放してやらなければならないんだ、それこそ「勝手に使われる」だよ、こういう時に異世界から迷い込んだ妖精とかきれいな一万円札が流れ込んで来ないで、何が実りある人生だよ。虫じゃん。虫はおれの人生にいらないんだよ。帰れ帰れ。
いよいよ部屋着の半纏すら壊れてきていて冬が不安になっている、ワタがあちこちから顔をのぞかせているというか。温かいものが欲しくて前から着る毛布をブックマークしたり、家の中を探索していたりするんだけど一向に良いアイデアが浮かばない、良いアイデアというのはつまり無料かそれに近いレベルで暖かさを確保することだ。着る毛布はその中でも一番金のかかるやり方で、しかも洗い方がよくわからない、まあ家の中で洗濯機を回してるのはおれじゃないのでどのみちそんな偉そうなことを言える立場じゃないが、それにしても洗うというサイズではなさそうだ。半纏はまだ検索してない、多分値段を見たら絶望するし、家族にはまだ使えるだろと言われそうだし。まだ使えるんだよ。そうだよ。全然あたたかいんだよ。でも極寒のシチュエーションでいきなり爆裂四散したらその寒さを何で埋めればいいのか虚しい気持ちでいっぱいになることもまた目に見えている。だからこうやって選んでいるし、だから結論が出ず、いまでもやぶれかぶれに半纏を着ている。